Horse Racing Cafe2号店(仮設)

Horse Racing Cafeの2号店(仮設)的なもの

リスク

 何か、武豊の騎乗が無くなったようで。このことでさらに「カジノドライヴが勝っても嬉しくもなんとも・・・」とか言う意見が増えるようにも感じる今日この頃です。まあ、「勝つ可能性が高い方を選んで何が悪い」が私の意見である。その根底にあるのは、「純日本チームで長期遠征を決行、凱旋門賞で2着に入ったエルコンドルパサーの教訓を活かせ」といった考えなわけです。
 最内枠を引き、包まれることを嫌った結果、レースでは逃げざるを得なかったエルコンドルパサーだが、その戦法自体に全くもって問題は無いと思っています。だが、直線での追い比べに多少の不満を感じたのも事実。今はある意味で終わってしまったGallop重賞年間99において柴田政人調教師と故野平祐二氏もこのように語っています

野平:願わくば蛯名君には、凱旋門賞では日本式ではなくロンシャン式の乗り方をしてほしかった。・・・(中略)凱旋門賞の蛯名君て、なにか、いつもの動きではなかったと思うんですよ。蛯名君の追い方じゃない。体を使えていない。彼、すっごく硬くてなって動けなかったんじゃないか、って感じるんです。モンジューと競り合ったとき、体がカチカチになっているんですよ。


柴田:もっと迫力がある追い方ができるはずだけどな、と思った。キネーンの方が目立ってるんですよ。肩に力が入っている感じでしたね。


野平:簡単に言うと、下半身をもっと使ってほしかった

 サンクルーやフォワ賞ではできていた下半身を使った乗り方ができていなかった、このように語っているわけです。これは、日本騎手に多い「上半身だけで追う癖」が緊張のため?本番でも出てしまったためと両者は述べているが、もしエルコンドルパサーの背にいたのが現地の騎手だったらどうだったのだろう。しっかりと最後まで追い、Montjeuに追いつかれること無く先頭でゴール板を駆け抜けていた可能性が無いとは言い切れないのではないだろうかなと。
 上に挙げたのは非常に極端な例ですが、「負けるリスクをできる限り摘み取る」というのも調教と同様、陣営にとって大きな仕事です。エルコンドルパサー陣営にもペリエを始めとした現地の一流騎手に手綱を任せるという構想もあったと聞いています。だが、それは調教師・オーナーと結んでいる強い契約の前に頓挫してしまいました。けれども、今回は違います。すでに報道もあったように現地の一流騎手からのラブコールも絶えないようなのです。ならば、腕は別にして少なくとも武豊よりはベルモントのコースを知り尽くしている現地騎手(しかも一流)に依頼できるのであれば、これを活かさない手はないんじゃないの、と。 
 エルコンドルパサー凱旋門賞というのは、今まで遠かった凱旋門賞をグッと競馬関係者にとって身近なものとして引き寄せた一方で、日本競馬界に「手の届くところにあるのにいつまで経っても取れない」というある種の停滞感を生じさせた部分もあるように感じてます(特にデープ以降)。「99年はあのMontjeu相手に接戦の2着までに来れたのに、ディープはRail Linkなんかに負けて3着(失格)か。あれ、昔の日本馬の方が強かったんじゃないの?」というわけです。なんか、いつまで経っても中学MVP時代の自分の方が凄かったと感じているスラムダンクのミッチーみたいな思考回路に競馬ファンも関係者も陥っているように感じるのですよ。そういう意味で、馬自体は日本は僅か1戦しかしていないものの、カジノドライヴで米三冠の一つでも取ってくるということ(そんなに簡単でないことは分かっていますが)は、日本の育成技術・調教技術の進化を分かりやすい形で競馬関係者や競馬ファンに示す非常にいい機会なんじゃないかなと、個人的に感じているわけです。だから、何よりも今回の遠征は結果を出すことをまず第一に考えるべきと思うわけなのです。
 ちなみに、一年前のオークスウィークの月曜日、競馬ブックのダービー想定によって武豊アドマイヤオーラ降板が明らかにされた。そして、今年はカジノドライヴである。以前、武豊TV武豊は池添のことを「2年連続で2回小倉5日目第7競走で落馬している」とネタにしていた。池添は去年、3年連続を避けるために函館に逃亡したが武豊は来年のオークスウィークの月曜日をどのようにして過ごすのだろうか。「カジノドライヴに似合う男になるために修行してきます」とか言い残し、再び長期米国遠征でも決行したら一生付いていこうと思う。