Horse Racing Cafe2号店(仮設)

Horse Racing Cafeの2号店(仮設)的なもの

柳の下にいたものは

 Better Than Honourという繁殖牝馬の偉大さは今更語るまでもないだろう。JazilとRags to Richesのきょうだいによって史上初のベルモントS2連覇という偉業を達成したばかりか、今年もカジノドライヴ空前絶後のきょうだい3連覇を期待されたのは記憶に新しいところである。そうした産駒の活躍もあり、07年の米最優秀繁殖牝馬に選出されるなど世界でも屈指の名繁殖牝馬がBetter Than Honourである。そして、その偉大な繁殖牝馬の名をさらに高めるべく、27日のアイルランドカラ競馬場で行われたメイドン(7ハロン)でBetter Than Honourの06ことMan of Ironがデビュー戦を迎えたのだった。
 アイアンホースと言われたGiant's Causewayを父に持ち、Coolmoreグループが所有、 A.P O'Brienが管理するというまさにエリート中のエリート。兄姉同様に競走馬としての成功は早くも約束されたかのように見えたMan of Ironだったが、デビュー戦でその鞍上を務めたのは日本の競馬ファンにはディクタットの安田記念2着で有名?な(大変失礼しました。別人ですね、ハイ)C.O'Donoghue。Coolmoreなら主戦のJ.MurtaghだったりJ.Heffernanが乗るもんだが、この2人はA.P O'Brienが出す他の2頭に乗っているという信じがたい現実がそこにはあった。ブックメイカーもその意味をしっかりと理解し、J.Murtaghが騎乗するRip Van Winkleが4倍で2番人気、J.Heffernanが乗るDrumbeatが11倍。Man of Ironはというと何と単勝15倍で6番人気タイ。日本だったらダントツの1番人気だっただろうに6番人気・・・。「まあ、同じくGiant's Causewayが父、Coolmoreグループが所有、 A.P O'Brienが管理し、2000ギニーを制したFootstepsinthesandもC.O'Donoghueがデビュー戦は鞍上だったし・・・」という妙な期待を抱いて臨んだデビュー戦になってしまったのである。
 で、結果はというとMan of Ironは負けてしまった。しかも、15頭立て13着というぐうの音も出ない結果で。僚馬のRip Van Winkleは2位入線で繰り上がり1着、Drumbeatは3着としっかりと結果を出した中、Man of Ironには残念ながら見所らしい見所は全く無かったのだった。
 もちろん、デビュー戦の結果だけでその馬の将来を判断するなんぞ愚の骨頂。Man of Ironにも兄姉に並ぶ可能性は十分すぎるほどある。競馬に慣れて実力発揮、気性が荒いなら玉を抜く、芝がダメなら兄姉が活躍したアメリカで走るなどなど、一変するパターンは現段階では星の数ほど存在するのだ。ちなみに、カジノドライヴの父であるMineshaftも英国時代は1勝するのが精一杯だったが、アメリカに移籍するやいなや僅か1年足らずのうちに米年度代表馬にまで登りつめた。このように、1戦だけでMan of Ironという馬の将来なんぞ分かりはしないのが競馬なのだ。
 ただ、Man of Ironの初戦惨敗を受け、4年連続で走る仔を出すというのは難しいことなんだと感じさせられたことも事実である。かの日本が誇った名繁殖牝馬ダンシングキイにしても91年エアダブリン、92年ダンスパートナー、93年ダンスインザダークを産んだが、94年に産んだ産駒はキングフryだったことを忘れてはならない。
 そうしたことを踏まえていくと、初仔から種牡馬になってRail Linkを出したDansiliを産んだばかりか、Banks Hill、Heat Haze、Intercontinental、そしてCaciqueと4年連続でGⅠ馬を産むという偉業を成し遂げたHasiliという繁殖牝馬の偉大さを改めて痛感するわけなのです。。